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家づくりこぼれ話

第2話 激怒と絶賛の壁の色

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下島 しかし、色となると急に好き嫌いの問題になるのはどうしてでしょう。
特に住まいのデザインとなったとたんに、多くの方が選択の幅が極端に小さくなってしまうんですよね。それは、いいデザインを生み出す可能性を閉ざしてしまうようなもので、本当はとってももったいないことだと思うのです。
さくら それって、食わず嫌いに似てますね(笑
おいしいカレーがあっても、嫌いな野菜が入っていたら、それだけでもうカレーが食べられない、みたいな感じ。おいしいカレーはその野菜があってこそだったりするのに。
下島 俗に、インテリアの色を決めるときは、“あんまり色数を多くするとめちゃくちゃになって失敗するからせいぜい二、三色にしなさい。”などというアドバイスをされたりしますよね。確かにめちゃくちゃになりがちなことも本当かもしれませんが、ちゃんとしたプロが上手にバランスを考えて検討を重ねたものなら何十色使おうと素敵な調和の住まいのデザインが出来るのです。
まあそうは言っても、現実にはたった一色を決める時でも結構抵抗があリますから、なかなか難しいものですけどね。

さくら 実際に、何か色にまつわるエピソードなどはありますか?
下島 部屋にメリハリをつける意味で壁を黄色系の色で提案したことがありました。
いろいろ話し合いの上、色見本での了解ももらった色だったのですが、実際に塗りあがった状態を見て、依頼主が烈火のように怒り出したのです。「こんな色は嫌だ!塗り直してくれ!」とね。
さくら わ、わ、大変!
それでどうしたんですか?塗り直したんですか?
下島 いえ、私は全体を予測する中でとてもいい色になったと思っていましたから、できれば変えたくありませんでした。
そこで“今は塗り立てで、びっくりなさったかもしれませんが、そのうち目が慣れてきてよくなりますよ。少し日がたてば少しは日焼けして落ち着いてきます。もう少し時間を下さい。塗りなおすのはいつでもできますから。”となんとかなだめてその場は納めたのです。
内心どうなることかとしばらくは落ち着きませんでしたが、一週間もたったとき、その依頼主は「慣れてきたせいか、あまり気にならなくなりました。」とおっしゃるのです。内心ほっとしたのは、言うまでもありません。
さくら よかったですね〜。
色にも慣れってあるんですね。
色って面積が大きくなると、色のイメージも少し変わって感じたりしますから、その依頼主さんもそのイメージの差にちょっとビックリしてしまっただけなのかもしれませんね。
下島 その後日談というのもあるんです。
引越しも終わり半年も経った頃、そのお宅を訪れたところ、その施主はいうのです、「この色はよかったね!」と。絶賛でした。あんなに怒られた色で、しかも何にも手を加えていない同じ色で誉められたのです。
これが住まいの色決めの難しさなんですね。
蛇足ですが、その色は黄色系であって、黄色ではなかったのですよ。要は吟味した色であるということなのです。
問題の壁のある玄関ホール 玄関ホール 玄関ホール
玄関ホール 玄関ホール
さくら インテリアの中のたった一色にだけこだわらずに、全体の調和を見る心がけが大事なんですね。
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