- アイリス収納・インテリア ドットコム
- 子育てマンガ トマコさんち
- vol.6 シグナル

-Page1/2-

いつもと違う。
そんな小さな変化が大きな事件を巻き起こすことがある。
見るということ。
気づくということ。
この重要性を、私は身をもって知ることになる。



12月上旬。
なぁ太は咳こんでいた。
急激な気温の低下。
乾燥する季節。
それはよくある光景だった。

「温かくしとこうね」
トマコは言った。
そうは言っても。
すぐ治るだろうと思っていた。


ある日の深夜。
なぁ太は高熱を出した。
40度近い。
いつものようにアイスノンを準備する。

首の後ろと脇とおでこ。
目一杯冷やして、防寒させて。
水分もたっぷり取らせる。
三日もすれば治るだろうと思っていた。
そう、いつものように。


一日様子を見て、次の日。
朝起きてなぁ太を見たら…。
今まで高熱で赤くなっていた顔が、すっかり元通りの色になっていた。
ホッとした。
そしておでこを触ると…。


熱い。
ちょっと待てよ…?
高熱を出しているのに顔が赤らんでない…?
そしてよくよく見ると…。

唇がむらさき…!?
更に、食べることは愚か、飲むことまで拒否し始めた。
イヤな予感がした。


結果…。
肺炎だった。
即入院だった。

いつものことだと思っていた。
いつものように風邪をひいているだけだと。
咳をしているにも関わらず自転車で買い物に行った。
咳をしているにも関わらず外遊びをした。

目の前で色んな処置をされ、その痛みに恐怖し泣き喚く我が子を見て。
こんなになるまで気付かなかった自分を責めた。


でも、顔に出しちゃいけないと思った。
苦しんでいるのは目の前にいる我が子。
ここで私がつらそうな顔をしたら、なぁ太は余計不安になるだろう。

「今、なぁ太の体の中にいる悪いやつをやっつけてくれてるからね。」
と言って励ましたりもしたけれど。
その言葉だけじゃなぁ太の不安と恐怖は消えなくて。
だから、笑っていようと思った。
目一杯楽しいことを言おうと思った。

「頑張れ!頑張れ!
なぁ太、レスキューフォースになるんでしょ!?
そういえばお誕生日も近いじゃない!!
楽しいこといっぱいだよ!!
だから頑張れ!頑張れ!!」


歯をくいしばって一生懸命頑張ったなぁ太は…。
この次の日の病床で。
私の眼を見て弱々しく言ったのだ。
