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家づくりこぼれ話

第1話:丸い和室

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さくら 下島さんは、これまでたくさんの家や店舗を手掛けてきたんですよね。きっとその中には、とーっても変わった家なんていうのもあったんじゃないですか?ぜひ「これは!」という住宅のお話を聞かせて下さい。
下島 うーん、そうですね…。じゃあ、丸い和室のお話なんてどうですか?
ちょっと質問です。何の前置きもなく“畳敷きの丸い部屋”と聞いて、どんな事をイメージしますか?
さくら えーっ、畳で丸い部屋ですか?!まず、その家に住んでる人はかなり変わった人なのかな?とか思いますね。お部屋は…畳がどんな風に敷いてあるかイメージできません(泣
丸い畳…?←こんな感じ?
下島 そうですね。大抵の人は、“奇をてらった部屋”や“思いつきでデザインされた品性の足りない悪趣味の部屋”なんて思うかもしれません。しかし、住宅の設計者としての私にとっては、たいへん感慨深い部屋となりました。

さくら その住宅を建てたのは最近なんですか?依頼主はかなり若い方とか、クリエイティブなお仕事をされているような方とか?
下島 いえいえ、私がこの部屋の依頼主と出会ったのは、今から十数年前で昭和から平成に移った頃だったと思います。依頼主は、60才代の一人暮らしのご婦人でした。
設計を依頼される場合、大抵は一般的なヒアリングから始まります。「どんな家をイメージしているか」とか、「希望していることはどんなことか」とか、「将来の生活についての展望」とか、言うなれば細かい打ち合わせに入る前段階での雑談的な会話から始まる訳です。
このご婦人(K夫人ということにしておきましょう)の場合は、開口一番“何でもいいですから変わった家にしてください。例えば、屋根が全部開いたりするような工夫のあるものでもいいんです。”とおっしゃったのです。

さくら 私は家を建てた事がないので、普通の会話というモノを知りませんが、なんだかかなり変わった依頼の仕方のような気がしますけど?
下島 そうですね、変わっていますね。
私は当時すでに100を越す住宅の設計を経験していました。そしてその殆どの場合、アイデアやデザインの提案を第一に希望する例はなく、形やデザインよりも使い勝手の良い家を第一にとおっしゃる人達が大半でしたから、K夫人の発言には本当にびっくりしたのです。
K夫人の場合、使い勝手とか機能性とかについては全く触れられず、ひたすら形の工夫、オリジナリティーにだけこだわったので本当に新鮮でしたね。
日本にもやっとデザインのことだけを堂々と言える依頼主が現れたのだと感じ、設計者として感動さえしたのです。勿論それまでにも、いいデザインを望まれる方は大勢いたのですが、デザインを優先する事にはどこか消極的で、自己規制的な発言が多かったのです。機能性を第一にと言うことはできても、デザインを機能性よりも前に出して言うことは殆どなかった訳です。結果として、デザイン的にみても、どこか思い切りの悪いものになってしまうことも多かったようにも思います。
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